鎌倉で作家仲間の忘年会

昨年末は鎌倉・小町通りの割烹の名店「奈可川」で作家仲間の忘年会。三島賞作家の小林恭二さんと鎌倉文学館館長で文藝評論家の富岡幸一郎さん。二人は小林さんが84年に『電話男』で海燕新人文学賞を受賞し、デビューした頃からの付き合いなのだが、最近会っていないという話を聞いてぼくが企画した。文壇の裏話や文学論など乗りに乗って話をした。

「奈可川」は白樺派の文豪、里見?先生や小林秀雄永井龍男立原正秋ら鎌倉文士が愛した店で、ぼくも常連である。以前、新潮社で絶大な権力を振るっていた斎藤天皇が「奈可川」に来たとき、小林秀雄が編集者のようで、斎藤天皇が作家のようだったという、ぼくの話にみんな笑い転げた。

ぼくは幸いなことに歴代の鎌倉文学館館長のすべてと付き合いがある。

初代は永井龍男さん。鎌倉文士の走りで、文化勲章を受章した大作家である。

二代目は清水基吉さん。昭和19年に『雁立(かりたち)』という小説で芥川賞を受賞した作家で俳人である。初期の作品は三島由紀夫に激賞された。ぼくは大船の清水さんのお宅で三島からの手紙を見せてもらったことがある。

三代目は山内静夫さん。里見?先生のご子息で、ぼくとも昵懇の関係。小津安二郎の名画のプロデューサーだった人である。ぼくは息子のようにかわいがられている。

 そして、現在の館長は文藝評論家の富岡幸一郎さん。ぼくとはご覧のように飲み友達。同じ飲み屋の常連なので、しょっちゅう一緒に酒を飲んでいる。富岡さんはぼくより一歳上で、同じクリスチャンということもあり、かなり親近感がある。

イタリアンのクルベル・キャンではしごしようとした。ここは詩人の城戸朱理さん、芥川賞作家の藤沢周さんが常連なので、もしかしたらいるかもしれないですね、と話しながらいったのだが、果たして城戸朱理さん夫妻が飲んでいた。なんと小林さんと城戸さんがお目にかかるのは30年ぶりぐらいだったという。城戸さんは事情がわからず、驚いて目を白黒させていた。しかし、満席だったので、再会を約して次の店に行った。

今度詩人の正津勉さん、城戸さん、藤沢さん、このメンバーで鎌倉で飲み会をやろうということになった。実におもしろい飲み会になりそうでいまから楽しみ。鎌倉駅で再会を約して、小林さんと富岡さんと握手をして別れた。実に楽しい宵だった。

写真は左から富岡さん、小林さん、ぼく。